「会議ってなんだか疲れる」「結局、何が決まったのか分からない」・・・そんな経験はありませんか?
私自身、会議をファシリテーションする立場になるなかで、「なんでうまくいかないんだろう?」と悩んでいた時期がありました。
そんなときに出会ったのが「ファシリテーション超技術」という一冊です。
じつは、会議の多くが進め方の技術不足で本来の成果を得られていなかったことだと分かりました。
本記事では、実務にもつながるヒントとして、
会議を変える3つの視点 ”設計” ”共有” ”納得” について紹介します。
1.会議がうまくいかない3つの原因
私の体験をもとに、以下の3つにまとめました。
1-1.「何のための会議?」「今日のゴールって何?」に誰も答えられない
会議案内に目的やアジェンダが書かれていない・・・そんな経験はありませんか?
参加者は「なんとなく報告を聞く場かな」「たぶん決めごとがあるんだろう」とそれぞれ勝手に解釈して参加します。
結果、話の焦点が定まらず、発言が噛み合わない。
「思ってたのと違う話になってる・・・」とモヤモヤしながら、結論も出ないまま試合終了ー。
これはまさに、”会議を事前に設計していない”ことで起きる失敗のパターンだと思います。
1-2.参加者の目線がそろっていない
会議が始まってすぐに、「あれ?」と違和感を覚えることはありませんか?
「え、そこから話すの?」「それってもう決まってなかった?」と、発言内容やタイミングにズレが生じる。これは、参加者の情報や前提がバラバラなまま会議をスタートしてしまうからです。
たとえば、こんな状況はありませんか?
・ 今回、初めましてのメンバーがいるのに、何もフォローもない。
・ 初めましての言葉やテーマについて、「これはこういうものですね」と目線を合わせていない
・ テーマがゴールまでたどり着く道のりが誰もわからないまま。
これは、”参加者との情報共有の手間を惜しんだツケ”だと思います。
1-3.決まったのに、誰も動かない
会議の終わりに、なんとなく「これでOKですね」という空気で締めくくられたものの、
数日たっても、誰も動いていない・・・そんな経験はありませんか?
これは、会議の場で“決まった風”にはなっているけれど、実は参加者は誰も納得や理解していなかったというサインです。
たとえば、こんな状況はありませんか?
・ 多数決で決めたけど、少数派は明らかに何か言いたそうな顔。
・ 結論は出たけど、 ”誰が” ”いつまでに” ”何をするか” がよくわからない。
これは、 ”決める” ことと ”動き出す” ことの間にあるギャップに気づいていないからです。
人は正しいと思うから行動するのではありません。
”自分も納得した”と感じたときに、初めて動けるのです。
2.「ファシリテーション超技術」で、会議の悩みに向き合おう
会議のうまくいかない原因は、個々のスキル不足や気合いの問題ではなく、”設計” ”共有” ”納得”のポイントが抜け落ちていることにあります。
こうした構造的な課題に対して、場当たり的な対処ではなく、技術として体系的に向き合っているのが、今回ご紹介する
👉 「ファシリテーション超技術」(著:山田 泉)です。
この本では、
「どうすれば、参加者の頭と心を動かす会議ができるのか?」という問いに対して、会議設計の方法、意見の引き出し方、合意形成の技術までを網羅的に解説しています。
特に印象的だったのは、
“人は正しいか、正しくないかということより「自分の意見が入っているか、聞いてもらえたか」のほうを圧倒的に重視します。”
という一文。
会議で行動を生むための ”納得” という視点の大切さを突いています。
このあと、記事では本著の要点を整理し、どのように実務に落とし込めるのかを紹介していきます。
会議に参加するすべての人にとって、「会議はもっとよくできる」という希望を持ってほしいです。
3.会議の設計・共有・納得を整える技術
3-1. 設計・・・会議は”場当たり”ではなく”デザイン”するもの
本著がまず伝えているのは、会議は進行役の勘や経験でなんとなく回すものではなく、ファシリテーターが ”どう着地するのか、結論まで予測する” ことが特に重要ということ。
そのために必要なのが、意図あるアジェンダの設計です。
以下のような項目を盛り込んで、会議を機能させましょう。
・ 目的やゴールをしっかり書く。
→会議で「何を達成したいのか」が共有され、参加者の意識がそろいます。
・ 時間配分は5分刻みで記載する。
→会議の流れがイメージできるようになり、時間意識が高まります。
・ どのような議論をどの順番でするか、整理して書く。
→意見交換のプロセスがスムーズに進み、目的に合った問いが議論を深めます。
ファシリテーターは、目的にあった問いと進行の流れ用意して望みましょう。
本著では「良い問いがあってこそ、良い意見が生まれる」と説かれています。
会議の質は”問いの質”に左右されるのです。
本著には、問いを立てるための実践的なヒントやフレームワークが詰まっています。
問いに悩んだときに何を考えればよいのか、どこまで具体的にすべきなのか・・・・・・
👉️問いのデザイン力を磨きたい方には、特におすすめしたいポイントです。
私の体験と気付き:流れを設計することで、場が整い始めた
以前、プロジェクトの会議でこんな悩みがありました。
立場の強い人や、声の大きい人の意見が会議の流れをかき乱される。
その結果、「今日は何を話したかったのか分からない」と参加者がモヤモヤを抱えたまま終わる・・・
そんな空気が毎回のように漂っていたのです。
そこで私は、参加者を味方につけられるように、なんとかしようと動きました。
・・・とにかく準備の時間を増やす。良かったことは次からもやって改善していこう。
そこで私は、会議の冒頭にこう説明してスタートするようにしました。
「プロジェクトの現在地はここです。今課題になっているのはこの部分。
今日はこの課題解決のために、皆さんと協議し、合意形成をとりたいと思います。」
この“現在地” と “目的” の共有で、参加者の目線がそろい、議論がブレにくくなったことを実感しました。
また、
・ アジェンダで時間配分を示し、「今どこにいるか」を共有
→ペースのズレや脱線を抑える効果がありました。
・ 発表者とは事前に作戦を立て、どこで意見をつのるかを確認
→発表者が次のアクションをとれるようにサポートできました。
・ 論点ごとに意見を募る
→発言しやすさのハードルを下げ、声の小さい意見を拾うために。
・ 参加者の意見を見える化しながら論点を整理し、着地点まで導く
→オンライン会議ではチャットを活用
対面の会議ではホワイトボードに論点を可視化
こうした「会議の設計」を意識するようになってから、参加者の納得感も高まり、「無駄な時間だった」と感じる人は明らかに減ってきたと感じています。
3-2. 共有・・・情報の”すり合わせ”が、議論の質を決める
ファシリテーションにおいて軽視されがちなのが、会議前・冒頭で行う ”情報格差の解消” です。
本書では、議論を行う前にテーマの背景や現状について目線を合わせることが重要だと述べています。
情報共有として、以下を行いましょう。
・ (事前準備)初参加のメンバーなどには、資料配布+事前説明をしておく。
→会議の前に説明しておくと当日は「ちょっと待って」と中断することなく、スムーズに進みます。
・ (当日)「問い」に入る前に、共通の土台を築く時間を取る。
→前回の振り返りから入って、今回議論する内容にフォーカスしましょう。
議論するテーマの背景、用語の定義を、全員で確認するとよいです。
この“共有”がないまま議論を始めると、見えている前提が人によって違い、会話は成立しているようで実はすれ違っている状態になってしまいます。
この視点を持つだけで、議論のストレスはぐっと減ります。
私の体験と気付き
あるとき、他部署が主催する会議に出席した際、議論がある程度進んだ段階で気づきました。
「この件、関係部署の担当者がいないけど、大丈夫?」
その場では何も起きませんでしたが、後日その部署から反対意見が出て振り出しに戻る事態に。
誰を・いつ会議に呼ぶかを事前に設計しておくことの重要性を痛感した出来事でした。
また、初参加者への情報共有にも工夫が必要だと感じています。
事前に資料を配布しても、内容が複雑だったり量が多いと「当日聞けばいいや」と受け身になってしまいがちです。
そこで私は、初参加のメンバーには対面や1on1で資料の背景や論点をあらかじめ補足するようにしています。当日の理解度が格段に高まり、議論の中断も減りました。
さらに、前回から間が空いた会議では、冒頭に前回の振り返りとアジェンダ共有の時間を少し増やして設けるようにしています。
これにより、参加者の頭が「今、どこにいて、何をするのか」に切り替わり、会議の集中度が上がることを実感しています。
3-3. 納得・・・人が動くのは、正しさではなく”納得感”
会議で ”決まったのに誰も動かない” という問題に対して、本書の示唆はとてもシンプルです。
“人は正しいか、正しくないかということより「自分の意見が入っているか、聞いてもらえたか」のほうを圧倒的に重視します。”
そのためにファシリテーターが行うべきは、決めることではなく、“納得できるように決める”ためのプロセスづくりです。
たとえば、以下のような工夫が紹介されています:
・ 決め方を会議で共有する(全会一致?最終判断は上司に委ねる?)
・ 決定する「理由」と「基準」を議論のなかで見える化し、全員で理解する
・ 決定したら、「誰が・何を・いつまでに」を参加者が動けるレベルで落とし込んでいく。
さらに、参加者の納得度を確認するため、会議の振り返りで表情や態度を確認することも重要です。
会議の成果は、 ”決定後に全員が動き出す” ことだと気づかされます。
私の体験と気付き:納得があると、アクションが進む
私は会議後のアクション率を高めるために、報告のあとに「何が分かったのか」「どこが問題か」を共通認識としてコメントに書くようにしています。
この一文があると参加者の目線がそろい、次に何をすればいいかが自然と共有されるようになりました。
さらに、次のアクションをとる担当者に対しては「わからないことはありますか?」と問いかけ、表情や反応を見て深掘りすることも意識しています。
例えば・・類似した事例をデータや計算式を用いて説明して、「このようにやってみては?」と提案し、期待感をもって次のアクションをとってもらうこともしました。
ただ、うまく合意形成できない場面もあります。
声の大きい人が結論を押し切ったり、多数決で決めてしまったとき、後から不満やブレーキが表面化することも。
そんなとき私は、あえて「今は決めずに、もう一度プロセスを整理しませんか?」と提案することもあります。
なぜなら、納得できないまま決まったことは、行動につながらないという失敗を何度も見てきたからです。
このように、「決めたことをやってもらう」のではなく、「やりたくなるように決める」ことが、納得を生み出す鍵だと実感しています。
4.おわりに・・・問いの質が、場の力を引き出す
「ファシリテーション超技術」を読んで感じたのは、会議がうまくいかないのは
構造が設計されていないから、自然とそうなってしまっている。
だからこそ、
・ 設計を意識する
・ 情報を共有する
・ 納得できる形で決める
この3つの視点が揃えば、会議の雰囲気も結果も変わり、参加者をゴールまで導けます。
そしてその次に、会議の質を高めるのは、「良い問い」を立てること。
問いで参加者と意見を出し合い、納得感のある合意形成をすることで、
会議も変わり、人も変わり、組織も変わる ・・・ そんな実感を得られる一冊でした。
「この技術、試してみよう」と思った方は、ぜひ次回の会議でひとつだけでも実践してみてください。
たった1つの問いや準備が、会議の空気を確実に変えてくれます。
本著には、問いを立てるための実践的なヒントやフレームワークが詰まっています。
問いに悩んだときに何を考えればよいのか、どこまで具体的にすべきなのか・・・・・・
👉️問いのデザイン力を磨きたい方には、特におすすめしたいポイントです。
コメント