今回は、ビジネスパーソンとして課長、部長としての働き方について考えたことをまとめました。小林祐児 (著) 「罰ゲーム化する管理職 バグだらけの職場の修正法」の著書を紹介します。
1.きっかけ
筆者の感覚になりますが、管理職になりたがらないビジネスパーソンは増えています。ここでいう管理職は、新任のマネージャー(課長)であり、役員とプレイヤーの間に挟まれて職務を実行する人々です。
なぜなりたくないのか、また、管理職のやりがいはどこにあるのかについて考えるきっかけとなったのが「罰ゲーム化する管理職」です。
2.概要
1.管理職の役割について
①情報関係・・・情報収集、経営メッセージの流通・共有
②業務遂行・・・日常業務の処理、新規事業の立案
③対人間関係・・部下育成、トラブル解決、対外人脈構築
④コンプライアンス・・企業ガバナンス、法令遵守
2.「罰ゲーム化」してしまう構造、原因
管理職は、より少ない人数で・より大変な課題を・より低賃金で行うものになっている。
・バブル崩壊以降、管理職ポストは減少している。
人材は多様性が増え、個別対応しなければいけない。
部下のメンタルヘルス問題も増加している。
誰かが離脱すると管理職がカバーする(プレイングマネージャーとして)。
・職場は、若くて元気なメンバー、特に幹部候補が離職していく傾向にある(今の職場に魅力を感じない)。また、管理職が忙しすぎて部下育成が十分にできていない。
・働き方改革、コンプライアンス体制強化、ハラスメント対応、ダイバーシティ対応などを推進するリーダーは、管理職が担っている。
・上記に対応しないといけないのに、実際は現場のこぼれ球対応や人間関係のトラブル解決に追われている。
・残業がつかない新任管理職は、気がつけば時間給換算すると管理職になる前よりも低賃金になっている。
管理職負荷のインフレスパイラル:①次期管理職候補となる人材がいない
・管理職になると他者との関係性が広がるため、心理的負担が高くなる。
例えば、「人と人のトラブル解決」「ハラスメントの対処」「部下の評価」「部下のタスクのカバー」
・管理職と一般社員の賃金格差は縮まる一方、死亡率はバブル崩壊以降上がっている。
・新入社員はもう管理職を目指そうとしていない。
会社のキャリアよりも、自分のキャリアを築いていきたい傾向。
賃金格差も縮まっており、旨味を感じない。
管理職負荷のインフレスパイラル:②管理職が自分で自分の首を絞めてしまう
・忙しすぎて管理職の負荷が高い状態になると、マイクロ・マネジメントをする。
結果「自分で考えない配慮的な部下」「反抗する部下」が増加し、メンバーの行動が上司の負荷をあげる。
管理職負荷のインフレスパイラル:③管理職と人事の意見のすれ違い
・管理職は、人・時間のリソース不足に課題を感じている。
・人事は、近年の課題(働き方改革、ハラスメント、コンプライアンス)対応に課題を感じている。
日本の組織の問題点:縦の分業意識が弱い
・官僚性の組織構造をとっているにも関わらず、仕事の分権がきっちり分けられていないのが、日本企業の特徴。
だから、管理職はこぼれ球を処理する役や、部下のミスフォローで本来の役割を果たせない。
3.罰ゲームを攻略するには:4つのアプローチ法
・大原則として、管理職自身の「アクションの過剰」を防ぎ積極的に「やらない」上司を目指す。
・そのために、管理職はタテとヨコのモノサシを柔軟に持つこと。
タテ・・特定の仕事において求める成果、クオリティの水準
ヨコ・・仕事のやり方、進め方の多様性について許容度を高める
具体的な4つの方策
①ワークシェアリング
・管理職の仕事について、現状を把握する。
・無駄な業務、承認プロセスの見直し
・具体的な役割のシェア、アウトソーシング、ツール導入
・権限委譲する際は、双方がなれるためにも、小さなタスクから始めるのが適切。
②ネットワーク
・ゴールは、部署を超えて相談できる関係性を作れること。そのために、企業内外の社会関係資本づくりのための施策をとる。
・縦のつながり強化として、役員のかばん持ちも施策の一つ。
・フランクな場となるように、研修会後に飲みに行けるような状況を作り出すことも一つ。
・罰ゲームのような状況が共通認識としてあるなら、「仲間」としての共通点になりえる。腹を割ったコミュニケーションによって、解決へのヒントが出てくるかもしれない。
③フォロワーシップ
・コミュニケーションの共通前提として機能するために、管理職側とメンバー側に必要なことを伝える、または訓練することで「情報の共有性」「情報の共通性」を得る。
・「情報の共有性」は、同じ情報を伝達すること。
・「情報の共通性」は、双方が知っているという事態を知らせること。
④キャリア
・早期選抜した幹部層候補への、厚い教育投資
・その他人材は、異動範囲を一定にとどめる。
・管理職自身が転職する際は、自らのスキル・能力を認識し「言語化し、伝えていく」ことまでできて「強み」になる。まずは、自身の経験を棚卸しする。
4.著者の考え
・管理職は他者と関わる人が増え、コミュニケーション上の苦しみが増える一方で、他者と向き合いともに仕事をするからこそ見える景色が広がる。
・ただし、管理職である人のなかには、無理な売上ノルマ・人間関係の苦難・不法な状態での勤務など強いられることもある。「罰ゲーム」どころか「罰」の状態で働いているならば、迷いなく逃避を勧めたい。
3.さいごに
経営者とメンバーの橋渡しを担うのが、管理職の役割であり、ここからイノベーションが生まれると筆者は考えています。
罰ゲーム化した現実を変え、本来の役割を果たすために積極的に「やらない」上司を目指すことは理解できました。そのために、管理職自身が柔軟な考えを持つように理論と実践を繰り返し成長することが必要なんだと考えました。
また、今回は人事のジャンルも関係しています。関連する著名人の考えも参考になりました。
次回以降、人材育成をテーマにしてご紹介したいと思います。
1.坂井風太氏
【Z世代がたった数年で会社を見切る理由】「いても無駄」と「言っても無駄」・・・
https://youtu.be/dhe3BeGR-Vo?si=Q1D1VlTMR5WMnKcn
坂井氏は人材育成を行ううえで、理論を身につけて実践することも重要だとおっしゃっていました。
一つの理論だけでは偏りが生じ、間違った育成になる可能性もあるともおっしゃっており、シチュエーションに応じた使い方ができるようになりたいと思いました。
2.李 英俊氏
30代キャリア】経営と人事のプロが語る『30代で突き抜ける人の特性』 など
https://youtu.be/xuv16kaoFbU?si=xk7U83OMOWOCSxm4
李氏は、とても分かりやすく話される方です。まだ全容を理解できていませんが、管理職になった方、これからなろうとする方に必ずプラスになるテーマです。
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